蜂の子を採取するには巣ごと狩る

蜂の子は栄養満点の高級食品です。
その採取方法はご存知ですか?蜂の子だけを巣から取り出しているのではなく、蜂の巣をまるごと狩らないと蜂の子を手に入れられません。
蜂の巣から蜂の子を採取するまでを紹介します。

蜂の子の採取方法

蜂の巣を見つける

まずは自然の中にある蜂の巣を見つけます。
蜂の巣の採取は長野県や静岡県、岐阜県などの山岳部で多く行われています。
単純に山林を歩き回るのではなく、蜂の巣を見つけるための方法としてスガレ追いや蜂追いが用いられています。

スガレ追い

スガレ追いは近年では最も多く使用される方法です。
イカやマグロなどの肉片を真綿で包んでおいたものを木に吊るしておきます。
蜂はこの真綿を抱えて巣まで運ぶので、見失わないように後を追いかけます。
蜂の姿が小さくても、目印を付けた真綿が目立つので追いかけやすいのです。

蜂追い

蜂の巣を探す伝統的な方法が蜂追いです。
蜂追いは、蜂にワインなどを飲ませて捕獲してから、体にリボンをくくりつけて放します。
スガレ追いの真綿の役目をリボンが担います。
そのあとを見失わないように巣まで追いかけます。

蜂の巣を燻す・採取する

蜂の巣を発見したら蜂取り用の煙幕を焚いて巣を燻します。
これはスガレ追いのみで行われており、蜂追いの場合は煙幕や麻酔などを一切使いません。
蜂追いでは蜂本来の風味を損なわないように採取するためです。
蜂の巣を燻したら蜂が麻痺して動きが鈍くなります。
その間に蜂の巣を取り出すのです。
地面に埋まっている巣の場合は掘り起こします。

蜂の子を取り出す

蜂の子は巣の中にある一つ一つの部屋に入っています。
その巣穴には大切に蓋がされているので丁寧に蓋を取り除いてから、ピンセットで蜂の子を取りだします。
柔らかくて潰れやすいので大量に詰まっていると根気が必要です。
ちなみに夏に採取した蜂の巣を自宅で養殖して、秋に食用として食べる場合もあります。

空っぽの蜂の巣の処理

蜂や蜂の子を取り出した後の蜂の巣はどうなるのでしょうか?

食べられる?

蜂の巣は樹の皮や蜂の唾液から作られています。
食べられる蜂の巣とは、ミツバチの腹部から分泌されるロウの「蜜蝋」から作られた巣だけです。
食用として国内・海外で販売されるほどです。
このミツバチの蜂の巣には栄養成分としてプロポリスが含まれています。
蜜蝋で作った巣の隙間を埋めるためのプロポリスは、樹液と蜂の分泌液・ハーブなどから作られており、巣の固定や殺菌効果もあります。
ビタミンやミネラル、フラボノイドも含まれるので免疫力アップできる健康食品として用いられています。
ミツバチの巣を手に入れた場合は、基本的に蜂蜜と同様なのでパンやヨーグルトと一緒に食べることができます。
その味は蜂蜜味のキャラメルのようだと言われています。
ちなみにミツバチ以外の蜂の巣は樹液以外にも様々な成分が入っていると言われているので、見つけた蜂の巣をむやみに食べないように注意してください。

捨てる

ミツバチ以外の蜂の巣の場合は捨ててしまいます。
一般的には燃えるごみとして捨てることが可能ですが、地域によっては可燃物で出せない場合もあるので念のため役所などで捨て方を確認しましょう。

蜂の子は大切に摂取しよう

蜂の子を採取するには蜂の巣一つをまるごと狩りとるので、その巣に住む蜂を全滅させることになります。
自然界で大きな巣を作って懸命に生きてきた蜂にとっては少し残酷でもあります。
この経緯を知ることで、蜂が作ってくれた巣とたくさんの蜂の子に感謝しながら食べることができます。
蜂の子の豊富な栄養素が私たちの体を健康に導いてくれるので、大切に摂取しましょう。
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