漢方として利用されてきた蜂の子

蜂の子は古くから中国で漢方としても用いられてきました。
自然界にある植物や鉱物などの生薬を複数組み合わせた薬である漢方ですが、蜂の子は漢方としてどのように親しまれてきたのでしょうか。
漢方薬としての蜂の子について紹介します。

蜂の子の漢方とは

漢方医学について

漢方医学とは治療に対する人間の体の反応を土台に体系化した医学といわれています。
5~6世紀頃に中国から導入されたこの経験医学が、日本の風土や気候、体質などに合わせて独自の発展を遂げてきました。
漢方という名称は、日本へ伝来した西洋医学「蘭方」と区別するためにつけられたものです。
自然科学的・伝統的医学であり個人の体質や特徴を重視して、症状をみながら天然物をベースとした生薬を混合した「漢方薬」が作られます。
蜂の子も人の体質や症状に応じて漢方薬として使用されてきました。

漢方としての蜂の子

漢方医学は上薬・中薬・下薬の3種に分けられます。
上薬とは副作用がほとんどなく、健康食品的なもので毎日摂取することで体質を強化、他の薬の副作用を軽減するとされています。
中薬は「少量か短期間なら毒性がない、病気を水際で阻止する」として、下薬は「病気を治す作用は強いが摂取量や期間に十分な配慮が必要」とされています。
蜂の子はこのうち上薬に分類されています。
確かに、蜂の子は薬とは違い食品なので副作用の心配はないとされています。
むしろ栄養豊富で体に良い健康食品です。
また継続的に摂取することで、たんぱく質やアミノ酸、ビタミン、ミネラルなどを不足せずに補えることで体の健康を維持できるでしょう。

どのような効果があるとされているか

中国古来の薬物書「神農本草経(しんのうほんぞうきょう)」という、今から約2000年前に書かれたと考えられている生薬についての書物があります。
そこに書かれている具体的な蜂の子の効能として、
・頭痛を治す
・衰弱している人や内臓の機能に障害を受けている人の元気を補う
・長期間の服用によって皮膚に光沢が出て顔色が良くなる
・年齢を重ねても老衰しなくなる
などの効果が挙げられています。
また「本草綱目(ほんぞうこうもく)」という中国の薬学書でも、心腹痛・黄疸・皮膚感染症・風疹・便秘・梅毒・婦人科疾患などに効果があると記されています。
蜂の子にはホルモン分泌の調整や免疫力向上、自律神経の調整、ストレス軽減、アンチエイジングなど現代でも様々な効果があるとされていますが、それはずいぶん古くから認識されていたことが分かりました。

漢方専門店での蜂の子

特徴

日本にある漢方専門店でも蜂の子が扱われています。
交尾に備えて栄養が蓄えられた成虫前の成長過程のオスの蜂の子を、生後21日目のみに採取したものを漢方として使用しています。
蜂の子以外の一切の成分を含まず、抗生物質も農薬飼料も使用していません。
その蜂の子を小さな粒状の微粉原末に加工しています。
鳴り止まない耳鳴りやメニエール病などにも蜂の子の漢方が効果的として推奨されています。

摂取方法

健康補助食品として、1日に0.5~1gの摂取が目安です。
付属の計量スプーンで計ってそのまま口にします。
難聴や耳鳴りで悩んでいる場合は1日2gの摂取で有効性があると期待されています。
飲む時間にも決まりはないですが、朝食前や就寝前、空腹時は体への吸収率が高まります。

おすすめの組み合わせ

蜂の子の効果を高めたい場合や、耳鳴りや難聴を効果的に解決したい場合には他の漢方薬と組み合わせることも推奨されています。
例えば「冬虫夏草」という、昆虫の幼虫に寄生するキノコの漢方は滋養強壮や免疫力向上に役立つとされています。
同じく滋養強壮や美肌にも効果的な「蚕」の漢方や、高麗人参・黒蟻・砂漠人参なども不老長寿や美容、力強さに効くとして蜂の子との組み合わせがおすすめされています。
蜂の子と合わせて他の漢方を組み合わせることでより、さらに健康効果を高めることができるでしょう。

漢方薬の蜂の子で不調を改善

蜂の子はそのまま食べたりサプリメントとして摂取したりできますが、漢方薬としても優秀だと分かりました。
特に蜂の子以外の漢方と組み合わせるとさらに効果アップに期待できます。
2000年前から不調の改善や健康の維持に適しているとして、恩恵をもたらしてくれた蜂の子をぜひ漢方としても摂取してみて下さい。
継続で摂取することで体質改善や老化防止などの良い影響に期待できます。
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